ボクサーは大きく分けて3つに分類されます。
一つは攻撃を主体にするファイタータイプ、それに対して防御を最優先に組み立てるボクサータイプ、その両方を相手や状況に応じて使い分けるボクサーファイタータイプ。
これはボクシングに限らず、対戦型のスポーツ全般にいえることだと思います。
いや、将棋やチェスなど駆け引きをするあらゆるものに言えるのではないでしょうか。
例えばテニスや卓球なども攻撃を主体としたパワーヒッター、それに対し相手のミスを誘い、自分のチャンスが来たら一気に攻めるといった、その駆け引きに選手の性格やタイプが色濃く出てきます。
なにせ一人一人個性をもった人間がプレーヤーなわけですから。

なにはともあれ、ボクシングの練習の醍醐味は何といってもナックルで感じる衝撃です。
最高に気持ちいいですよね!
でも、そんな相手のパンチを外したり、かわした時の快感も負けてはいません。
相手の意表をつき、裏をかくディフェンスも楽しいものです
拳で感じる爽快感と、パンチをかわす楽しさ、その攻防には言葉では言い表せない面白さがありますよね。
マスをする際、ディフェンスができるという安心感により冷静になれます。
その分りリラックスでき、力みの無いスムーズな動きができます。
つまり良い相乗効果が働くわけです。
マスで相手と対峙した際に緊張したり硬くなったりする理由の殆どが、防御に対しての不安によるものだと思います。
確かに丸腰でリングに上がったら私でも怖いですからね・・・

では、実際にどの様な練習をすればいいのか?
一番は相手を想定することです。
鏡に映った自分のフォームばかりみてシャドーをするのではなく、目の前に相手がいる想定でシャドーをする。
つまり、ミラーボクシング(自分の姿)ではなくシャドーボクシング(相手を想定)をすることです。
その違いはディフェンス動作が有るか否かで一目瞭然です。
相手を想定していれば防御動作がシャドーの中に必然的に出てくるものです。
鏡の自分を見てシャドーをしていると気持ちがいいのでパンチばかりになってしまいがちですが、いざマスになったら相手がいるわけですから、そういう練習をしていないと思い通りいかないものです。
次に実際マスの際にどのようなことに気をつけるのか?
大抵の方は先にパンチを出さなければならない(マスト)と考えがちです。
逆にキャリアのある方ほど、まずは動いてリズムをとることでリラックスし、相手のパンチのタイミングを窺ったり、最初はリスクの少ないジャブでけん制したり、と「しなければならない」がなく、自分のリズムで動けることでスタミナの消耗は最小限に抑えられます。

では具体的には。
・フォームだけではなく、頭もバランスが重要
頭の半分は防御のことを、残りの半分で攻撃のことを考える。
つまり攻撃一辺倒にならないようにする。
例えば車を運転している際、基本的には前の車を見てはいますが、もしかしたら横から人が出てくるのではないか?もしかしたら前の車が急停車するのではないか?
そんな複数のことを同時に、場合によってはラジオ聞いていたり、ハンズフリーで電話をしていても円滑に運転できています。
要するに攻防のバランスを考えることが大事です。

・攻撃と防御をセットにする癖をつける
打つ前に、打った後ブロックをするのか、ステップを使うのか、ヘッドムーブするのかを事前に想定した練習をする。
サンドバックの際もパンチを出したら、一度距離をとる、ブロックをする、頭の位置を変えるなど。
逆にディフェンスしたら即攻撃も同様です。
なかなか難しいですが、反復練習による反射的訓練が重要です。
例えば、突然目の前に何か物が飛んできたら大半の方は目を瞑ると思います。その瞑るという反射的反応をディフェンスに置き換える練習をすればいいのです。
不意に来たものに対し、瞬時に目を瞑るという反射神経を人間は元々もっているわけですから。

・最後は心理戦である
何度も何度も場数を踏むことで、相手の性格やタイプを読み取ることができるようになってきます。
最初は少し難しく感じますが、練習を積み重ねていくことで自然とできるようになってくるものです。
相手との駆け引きが、私自身このスポーツの一番楽しいところだと思っています。
マスは相手と会話している感覚に近いですね。

そんな日々の工夫と努力により、日頃のマスが何倍も楽しくなりますよ!
あっあと、重要なことはくれぐれもマスでは当てないようにご注意ください。
当てない人は距離感がしっかりできている証拠、つまりいつでも当てられるということですから。

頭も体もバランスが大切ですね。
練習のヒントになれば幸いです。
さらなるレベルアップを目指してください!